X=コタエナシ

「おー氷雨君じゃん。中学以来かな?背伸びたね!」


もう、瑠依一人で良かったじゃん…。


大きなため息をついてしまった。幸い、誰にも気づかれてなかったみたいだけど…


「何の用なの?咲夜?」


「あぁ、ちょっと…小暮君に用があって…」


それを言ったとたんに、氷雨君の機嫌が悪くなった気がした。


「小暮?あいつに何かあるの?」


優しいけれど、少し怒っているような…そんな口調だ。


「四人で、ダブルデートしたいんだって…」


「いつ?」


「今日の放課後。私と、氷雨君と、瑠依と、小暮君で。いいかな?」


向こうは楽しくおしゃべり中だ。このままだと永遠に瑠依が本題を切り出しそうにないから、先に言っといてやる。


「別に、俺はいいけど。小暮はわかんねー。」


楽しくしゃべりすぎて、向こうが合コンみたいになっている。


(わー、もう打ち解けてる…)


瑠依、頭は悪いけどコミュ力は高いんだよね。


「すげー声かけづらいんだけど。」


「ほんとにね」


壁にもたれながら瑠依たちを見ていたけど、背中のところで組んでいた手に、氷雨君の手が伸びてきて、心臓が忙しく動き出したのは…


瑠依たちには内緒。