そう言うわりに素足だよな、と佳織は寒気を覚える。
とくべつ痩せているほうでもないのに、佳織は学生時代から慢性的な冷え性に悩まされている。
一体なにをしたらこの季節でもそんな無防備な足元でいられるんだろうと不思議に思ったとき、本能的に、やばい、という言葉が脳裏を過ぎった。
しかし抗う余地はなかった。
う、と思った次の瞬間にはもう、ここ一番のおおきい音を立ててお腹が鳴っていた。
「……」
「……」
穴があったら入りたい、と切実に思った。
「ちょうどお腹が空く時間ですものね」
エプロンの彼女は半開きになっていたフェンスを閉めながら、なんとか絞り出した言葉で佳織をフォローしてくれる。それが逆に惨めだった。
しかし、次いで彼女の口から出てきた言葉に佳織は目を見開いた。
「それに、何か嫌なことでもあったんじゃないですか? 最近よく元気のない顔で帰っていかれるからみんな心配していたんですよ」
「え、どうして、わたしのこと……」

