どきりとした。
探す――そうでは、ない。
佐野くんの、屈託ない、人懐こい笑顔が脳裏を過ぎる。
カーテンの隙間から差し込むやわらかな光に浮き上がった子供のような無防備な寝顔。
もし、あの人とのことに結論が出たら、わたしは……。
「……はい」
でもなんとなく、おっとりとした中にも侮れない鋭さを宿した佐希子さんの目を見ていたら、すでに心を許しそうになっている男の人がいるとは、どういうわけか、素直に白状できなかった。
「――だったらそれはちょっと、わたしの手には余る話ですね。残念ながらわたしには、そういう占いみたいな力はないから」
「で、ですよね……はは、すいません。じゃあまた明日。楽しみにしてます」
「お気をつけてー」

