それにはさすがに佐希子さんも、そもそも大きい目をさらに見開いて、驚いたというよりは呆れたという声を洩らした。
それでさらに佳織もがくりと肩を落とす。
そうだよ、誰だってそう思うんだ。
「結局いっしょに夕飯と朝ごはんを食べただけで帰ってきちゃって。そのあともろくに連絡もなし。……いくら忙しいとか、マメじゃないからったって、週に一度くらいは向こうから電話があったってよくないですか?」
「それはそうですよね」
「なんだかもう、何しに行ったんだかわかんなくなっちゃって」
わたしのことも……。あの人との関係が、もうわからない。
「……佐希子さん、わたし、どうしたらいいでしょうか?」
いきなりの問いかけに、佐希子さんも困ったように眉を下げるばかりだ。
自分から振ってきた話題とはいえ、こうして砕けたやり取りを交わしたのは今日がはじめてのわたしにどうこう言う資格があると思うか――とでも言いたげな苦しい微笑みに、佳織自身、そうだよな、と我に返る。
「すみません、へんなこと聞いちゃって」
「いえ――ねぇ、ちなみにそれは、その人と別れて、別の恋を探したほうがいいのかどうかっていう質問なのかしら?」

