「お店の方は大丈夫なんですか?」
「なんとかね」
「部員、みんな喜んでますよ、佐希子さんが料理人で。なんていうか、もっと、茶色っぽい食事しか出ないと思ってたみたいで。実際、去年はそうだったし、昼飯もずっと仕出し屋の弁当だったから」
「あらそう」
だったらどうして今回は三食なのかしら。
きっといい経費削減になるって足元を見られたのね。
温厚そうに見えて抜け目のない校長だ。
「バランスとかは考えてもらってるんでその点はありがたかったんですけど、一日置きにヒジキの煮物が出てくるのが俺はどうも苦手で」
「あら、早見くんにも好き嫌いがあるのね」
「いや、嫌いじゃないんですけど……どうも寮母さんのヒジキはいつも甘めの味付けなもんだから」
「そうだそうだ、毎回渋い顔して食ってたもんな、おまえ。――ごちそうさんでした。今日のくるみ豆腐は最高っした。あと五個は食えるな。あれ、ひょっとして手作りっすか?」
会話に割り込んできたのは一之瀬くんだ。
前の方を早見くんに、後の方を佐希子に向かって言うと、大きい身体を丸めるようにカウンターに腕をつく。
「お、ようやく食い終わったか、おちょぼ口」
「うっせ!」
「手作りですよ。午前中のうちに作って固めておいたの」
「すげー」
「――八津、まだいるか?」
食堂のドアを開けて土井コーチが現れた。ジャージ姿で、今まで外にいたのか不自然に頬が赤い。

