でもそんなことはきっともう誰かに言われているだろうし、わたしなんかに言われたらそれこそ屈辱に感じて、ますます頑なになってもいけないし。
ううむ、と佐希子は山盛りの三つ葉から汚れた部分を取り除きながら、静観以上の良策が浮かばない自分に忸怩たる思いでいると、
「あの、こんにちは」
ごくごく控えめな声に顔を上げると、食堂のドアをわずかに開けてこちらを見つめる可愛らしい童顔が。
先日じゃがいもを拾ってくれた子だ、とすぐさまわかった。
「保健室の先生に、氷もらってきてくれって頼まれたんですけど」
「あらそう、どうぞ。さっき、野球部のマネージャーさんももらいに来たんですよ」
「どの袋使ってました? わたし、なにも知らなくて」
「そこのビニール袋だったかしら。ちょっと待って」
先ほどの彼女の足取りを思い出して、棚から一枚袋を引き抜く。
「ありがとうございます。わあ、いい香り。三つ葉ですね、春の匂い。大好き」
「いいでしょう。わたしも大好き。食べるのも大好き」
「はは、わたしも。じゃあこれ、ありがとうございました」
「――ねぇ、あなたお名前は?」
え? と振り返ったのはなにも目の前の少女ばかりじゃない。
唐突な問いかけに丹後さんまでが不思議そうに佐希子を見た。

