いつぶりだろうか、こんなにもワクワクした感覚は。

胸がとくん、とくん、と高鳴るのを確かに感じていた。

真っ白な毛と白雪のような肌、淡青色の瞳。
御伽の国から抜け出してきたかのような美しい見た目。
雲のあいだから射す月明かりに照らされて、彼女のいる場所だけ違う世界のように見えた。
白人さんともまた違う不思議な感覚。
華奢で長い手足は真夏だと言うのに、しっかりと長袖とロングスカートで隠されていた。

人形かと疑うほど生気がなく、憂いに満ちた表情でテラスから満月の浮かぶ空を眺めていた。

月明かりのおかげで、星はあまり見えない。


彼女はゆっくりと振り向いた。


俺は息を呑む。

「す、すみません!!眺めるなんて失礼ですよね、いや、本当にすみません!」

冷淡な彼女の表情に僕は恐怖した。

眺めていたなんて気持ち悪いよな、そう思い彼女から目をそらし、即座に謝る。

「めずらしいですよね、私。」

彼女は近所迷惑にならない程度に声を少し張って俺に話しかけた。

「めずらしいというか。。。お綺麗だなと思いました。。。」

そらしていた視線をもう一度彼女へ向けた。


さっき一瞬見えた冷淡な表情はそこにはなかった。