「え、っとですね。なんで話しかけられても外を見てるのかなって思ったから…です。観察してれば何か分かるかなって思いまして…!」
モゾモゾしながら言うと、私の手首が開放され、彼はゆっくり席に座った。
そしておでこだけを机につけて下を向いてしまった。
「ど、どうしたの青山くん…?」
「なんだよ、そーゆー意味かよ…」
「ん?」
「いや、こっちの話。」
ぼそっと言った彼の言葉が聞こえなかったため聞き返すと、なんでもないとはぐらかされた。
「あっ、ちなみに何を見てたの?」
「いや、特に。ボーっとしてるだけ。あんま何人もの女子に囲まれて話しかけられるのは好きじゃないから無視してるだけ。」
疑問に思っていたことを彼は作業しながら答えてくれた。
ほー…あっ、ていうことは!
「えっ、じゃあ一対一ならいいの?」
「ああ。しつこくなければね。」
はい、とプリントを渡されすかさず受け取り、ホッチキスで留める。

