【完】最初は、それだけだったのに。



「ご、ごめん…!ずっと見てるって気持ち悪いよね!体調崩しちゃったなら私代わりにやっとくか、ら…?!」


立ち上がって早口で言うと、彼も席を立って、机をはさんで私の手首を掴んでいた。


…?!


な、なんで私の手首を掴んでるの…?!


彼は前かがみになっているから、下から私を見上げている構図に少々怖気づく。




「あ、青山くん…?!」


「答えて」


「へっ?」


そう聞き返すと顔の赤味がひき、真剣なをした彼がいた。


ドキッ




「なんで俺をずっと見てたの?」


ドキドキッ


な、なにこれ。


心臓がドキッてする。


どんどん心拍数が上がってくる。


彼の真っ直ぐな瞳から目を離せない。


目を合わせた瞬間、熱いドロドロしたものが体の中を駆け巡る。


それが脳を鈍らせる。




…あっ、質問…!


上手く働いてくれない脳を必死に回転させて会話を続ける。