大陸の大部分を占める、セレストとシャーレットの二大国が結びつきをより強固にするために講じた策はシャーレットの王女がセレストの国王に嫁ぐというありふれたものだった。

シャーレットの王女は大陸一の美姫と有名だったし、セレストの国王は若いながら賢王として名を馳せる美男子であったため、国民の誰もがこの婚約を祝福した。

当然のことながらこの婚約を先延ばしにすることなど誰も望まない。シャーレット側の不手際が露見されるのも好ましくない。

だからこそ…だからこそシャーレットの女王はリスクを冒してまで“私”をミレイに仕立てたのだー。