グラウンドに出た満煌。

中3にもなれば、準備はすべて後輩がやってくれるので、始まるまでたいしてやることもない。

軽くストレッチしながら、物思いにふける。

(美璃は星のこと好きなんだもんなー)

美璃の態度を見れば星を好きなことくらいわかる。

(美璃はなにかに怯えてる。

きっと絶大なストレスになってる。

どうにかしてやらないとな…)

「はああ…」

思わずため息がもれる。

「満煌先輩?どうしたんですか、ため息なんか、らしくもない」

「え?」

部活の後輩が背後に立っていた。

「うーん。恋煩い、かな。ははっ」

「あえ!?せ、先輩!!え?え?」

「ははっ」

満煌は否定も肯定もしない。

(らしくねーよな…

しかも失恋してるし)

「さ!部活始めるぞ!星、まだ来てないのか。誰か呼んできて」

ぱっぱっと手を払って満煌が部員に呼びかけた。

「へーい」

部員たちの返事があちこちからあがる。

(さあて、今からはサッカーに集中しないとな)