「よ」

部室に入った星が満煌に声をかけた。

まだ満煌は着替えてる途中だった。

「美璃は起きたか?」

「うん。元気っぽい」

「はああ…」と、盛大に息を吐き出した満煌。

「よかった…」

心から安堵の声だった。

「まだお前あの日のこと…?」

星が心配そうに満煌を見つめる。

「引きずってるよ。今日もあの日も薄々気づいてたのに、美璃に無理させた。美璃が自分から言えない性分なの知ってたのに」

満煌は星から目をそらすように横を向いた。

「そうだな。でも、美璃のあの言わなさぶりは病的だよ。それに時々何かに怯えてるような感じがする」

満煌は何も返さなかった。そして、深く考え込んだ顔をしたまま部室を出ていった。