☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-


「う…」

呻き声に、フェニックスは顔を上げた。

「おはよ、ホセ。」

思ったよりは冷静に、ホセは頷いた。

「大丈夫か?」

「…僕は、何故此処に…」

「記憶、ねーの?」

「…」

ホセは俯いて少し考えたようだった。

「分からない。」

「…そっか。」

綺麗な赤い髪に手を伸ばして、ふんわりと撫でる。

ホセは少し吃驚したようで、目をパチクリさせた。

「自分の名前は覚えてる?」

「…分かりません。」

「じゃあ、自分のことで知ってること、何でもいいから教えて。」

「…あの。」

「ん?」

「僕は、自分を憎んでいる。凄く、凄く憎い。憎くてたまらない、殺したいほど憎い。」

「…うん。」

ギュ、とフェニックスはホセを抱きしめた。

「アクアって覚えてないかな、水色の髪の子。」

ホセはしばらく考えて、問いかけた。

「…貴方は、アイス様ですか?」

「…ううん、違うよ。」

アイス、酷薄な瞳の嗤いが思い起こされた。

「…僕の中に、アイスと、アクアと…きぃす…うぃんぐ…きんぐ…くらうん…ぜろ…ゔぃ…?」

ギュ、とホセは頭を庇うように丸まった。

「大丈夫、大丈夫だよ、無理やりは止めろ、ホセ。」

何とかして思い出そうと苦悶するホセに、フェニックスはそう言った。

「ほ、せ…?」

「うん、お前の名前。」

優しく、フェニックスは言った。

「…」

しばらく考えて、ホセは首を振った。

「覚えが…ありません…」

そっか、微笑んでフェニックスはそっと泣いた。