身体中の傷跡が、フェニックスの予想を超えて現実を叩きつけた。
「ひでーな、これは。」
キングが言わなくたって分かる。
「思いつく限りの拷問でも受けたらしい。」
手首と肘のまっすぐな線。
これは導線の跡。
特に腹部と顔に多い浅黒い傷。
ここは打撲。
背中を中心に走るミミズ腫れ。
こっちは鞭の跡。
くっきりと跡が残った胸部と首の傷。
ここは締められた跡。
両足の不規則で不気味な傷。
ここは毒で膿んでる。
首筋に深い、3本の傷。
ここは飢餓でもがいた時に引っ掻いた跡。
「…本当、嘘ばっか。」
ここは最高だからと、そう言ったホセ。
これが最高なのだろうか?
ホセにとって。
気を失って動かないホセに、フェニックスは優しく語りかけた。
綺麗な紅い髪は血を吸ってところどころ固まっていた。
丁寧にその血を拭き取り、とかしてやるとサラサラと櫛の歯を通り抜ける。
せっかく綺麗な身体をしているのに、大事にしないから台無しだ。
傷だらけで血塗れの身体。
最高の芸術家が筆を折ったという噂もあったが、それならホセ自身が筆を折らなければならないのでそれは噂に過ぎないんだろうけど。
彼は美少年である。
完全なる美少年である。
彼は全てにおいて完璧で、
また全てにおいて不完全。
存在しないはずの生き物。
「…存在してちゃいけない生き物。」


