果たして着いた後輩の家は。
「…わーお」
裏側は汚い路地、表側は豪華な表通りというすごい一軒家だった。
「あ、こんにちは〜。先輩のお友達ですか?…聞いてますよ聞いてます。敬愛する先輩のお友達ならギャングだろうとおもてなししますよ…さあ入ってください。」
広い玄関に、そのまま長い廊下が続いている。
左手側にあるのはどうやらリビングらしい。
ヴィセーブはフェニックス達を急かしつつ階段を上がる。
「なあ、その先輩ってさ。君と双子?」
赤い髪、白い肌。
「いいえー?」
セレンより多少健康的で、痩せこけた感じはないものの。
「俺はヴィセーブって言います。みんなからはヴィスって呼ばれてる。」
彼はセレンに、瓜二つだった。
「はは、似てるの見た目だけですよ。」
俺馬鹿だし、とヴィセーブが言った。
「そういえば、ミューズがまだ帰ってきてないんです。先輩には劣りますけどイケメンです。俺はそいつとシェアハウスしてて」
ヴィセーブはそう言いながら、廊下の先の扉を開けた。
「ここは俺の部屋です。」
「ねえねえヴィセーブくん。」
「できればヴィスと呼んでくださ」
「ヴィセーブ。一個聞きたいことあってさ」
ヴィセーブの話を無視して、フェニックスは言った。
「これは何?」
「先輩のポスターです。」
「これは何?」
「先輩の写真です。」
「これは何?」
「先輩の声を録音したテープです。」
「…」
フェニックスは、にっこり笑った。
「キモい^o^」
「…同感。」
「同感。」
「同感です。」
「ああごめんねヴィスさん。気にしないで気持ちは分かるから。うんそうだよね泣かないで」
泣き出す直前まで罵倒され続けて、キースは慌ててヴィセーブを慰めた。


