___カチャッ、カチャッ。
キースは鎖の擦れる音で目を覚ました。
気を失ったような記憶、ということは此処はどこ?
ヤーンの気配はないし、毛糸玉もない。
拘束されている訳でもないのだ。
「ウィング…?」
部屋は暗く鎮まり返り、キースはつい癖でウィングの名を呼んだ。
「…キース、いんの?」
「…うん!」
よかった、一人じゃなかった。
状況は変わらないけれど、ウィングがいるというだけでなんだか心強かった。
「ウィング、どうしたの?」
「血の匂いだ。」
「血の!?」
つい上ずった声に、ウィングは静かにしろと呻く。
「キース…?ですか?」
「アクアちゃん!?」
この調子だとキングやフェニックスもいるんじゃないかと期待したが、どうやらいないようだったので少し寂しかった。
「アクアちゃん、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。擦り傷1つありません。」
本当かなぁ、キースは思った。
ホセが無表情で本音を隠すタイプなら、アクアは始終百面相で本音を隠すタイプだ。
無駄に喋って本気のことを言わない。
「不思議なことくらい問題ないですよ。両手両足びっくりするくらい軽いです。」
淡々とそう言うアクアに、取り付く島もない。
「…うん。」
本当かなぁ。
そして突然に、明かりがついた。
ついたというより窓が開いたような感覚。
眩い照らされた部屋に、一瞬目がくらみ、あとずさったが目はすぐに慣れる。
その目が捉えたのは、十字架に縛られた黒髪の少年。
少年は俯いていて、光を反射しない絵の具のような漆黒の髪が揺れている。
上半身の衣服はボロボロで穴だらけ、素肌に食い込む鎖が痛々しい。
先ほどから鳴っていた鎖はこれだったのだ。
それから暫く、ゆっくりと少年は顔を上げた。
「…」
「!」
金色の危うい瞳。
信じられないくらい危険な色。
でも、キースは気づいてしまった。
「ホセなの!?」
「…」
相手は反応しなかった。


