とはいえこんなところで死傷者を出しても何の得にもならないので、ウィング達の回復を待って次の城へ向かう。
「この奥にも城があるはずだ、その先に427はいるだろう。」
こちらの通路はそんなに長くはなく、6人は直ぐに次の城にたどり着いた。
重厚な扉を開けると、部屋の中には糸、糸、糸。
巨大な針山に刺さった縫い針から伸びた糸。
動き続ける糸車に絡まった糸。
天井に下がる糸。
積み上げられたボビンの糸。
全てが絶えず動き続け、毛糸玉になったりボビンに絡め取られたり。
そんな異様な部屋で、白猫姿の少年が毛糸の上に座っていた。
「にゃにゃ、雪豹にゃか!!久しぶりにゃぁ、ちょっと遊ばにゃいか?」
ニャーニャー嬉しそうにそう言って、彼は毛糸玉を飛び降りた。
「っ。」
「僕はヤーンにゃ。ようこそ、ここはマリオネット-キャッスル。」
「通せ、427を渡す訳にはいかない。」
アイスがそう言ったが、ヤーンは何も言わず笑っていた。
「…にゃにゃ?もしかしてアクアちゃんにゃぁ!?」
「!」
アクアは例の人見知りを発揮して、キングの背中に隠れた。
…こんなに信用できない壁も珍しい。
「君のことはにゃ、ホセくんから聞いたにゃ。」
ヤーンはにっこりしながらこちらへ来た。
「!」
刹那、アイスがヤーンの頭を吹き飛ばす。
「___!___?」
「にゃにゃーん、雪豹、酷いにゃよ。」
突然背後からかけられた声に、アイスはビクッとして振り向いた。
「僕のお人形を、壊すにゃよ。」
頭が吹き飛んだヤーンの方は、糸が切れたように倒れる。
「みんにゃ、試して悪かったにゃ。僕が本当の、ヤーンにゃぁ。」
ヤーンはそう言って、フラリと右腕を上げた。
「僕はお人形を持ってるにゃ。可愛いお人形にゃ。」
「…」
「おまえらも、コレクションに加えてやるにゃよ。」
ヤーンが指揮を執るようにして両腕を打ち振ると、毛糸玉の糸が解ける。
輝くような美しい光と共に、それは糸くずの山から死体を…人形である死体を引きずり出した。
「安心するにゃ、おまえらをコレクションするときもこうして生かしてやるにゃ。」
「!生きてるのか!?こいつら!!」
「そうにゃよ。」
人形は虚ろな目をしてフラフラとこちらを見据える。
フェニックスには、死体にしか見えない。
「全員、生きてるにゃ。」
ヤーンは、どこか哀しそうにそう言った。


