「ヤーン、ねぇヤーン…食べないでよ重要事態。」

「それを言うなら緊急事態だろ、スレプト。なんかあったのか?今いいとこなんだ。」

びしょ濡れで十字架に架けられていたホセはその瞬間気を失った。

「あークッソ。また始めからかよ。」

鞭を投げ出してキセノンはこちらを見た。

「おいスレプト、何の用だよ。」

つまらないことだったら許さない、そんな殺気に、スレプトは怯みもせずに肩を竦めた。

「ホセくんの仲間だよ。こっちに向かってきてる。」

「はぁ!?」

「…」

ヤーンの反応がないことが不気味だったが、スレプトはにっこりした。

「キセノン手伝って。」

「はぁ…まだ気絶に対しての耐性がねーのに…」

ちら、とホセを見てキセノンは深々と溜息を吐いた。

「ヤーン、こいつ見てろ。目覚ましたら強制治癒使って例のとこ放り込んどけ。」

「…分かった。」

ヤーンは俯いたまま応えた。


あれ?


スレプトは違和感を感じた。

でもその正体を知ることなく、キセノンに連れられてヤーンから離れた。


「___」


ヤーンはじっと気を失ったホセを見つめ、微笑んで傷ついた肌をそっと撫でた。

「___もうちょっと、にゃぁ。」