12月を迎えて、いよいよフェニックスは病んでいった。
もうホセの記憶なんて無いだろう。
それなのに忘れてはいけない何かを忘れてしまっている、という事実だけがフェニックスを縛り上げていた。
普段は普通なのに、その部分が刺激されると狂ったようになる。
実際、狂ってる。
ホセはあまりにもフェニックスと一緒に居過ぎたから、些細なことでそのパニックは起きた。
「う、うあぁぁぁぁっ!!」
もがきながら激しく芝生に体を打ち付けるフェニックスを、止めることもできずキングは見ていた。
何故か分からない涙を流し、何故か分からない喪失感に打ち震える。
もう、狂うなという方が無理だった。
「誰…だれなの…もう…でてってよ…」
「…」
泣きながら、分からないのに泣きながら。
フェニックスは頭を抱えて叫んだ。
それは、12/23のことだった。
「ハッピーバースデー!!」
「…?」
クリスマスにはちょっと早いぞと言いたげに、フェニックスはウィングを見た。
「誕生日だろお前の!!しっかりしろってのこの馬鹿!!」
「…誕生日…そうだ、ピアノ…!」
…ピアノ?
何のためのピアノだろう?
また、フェニックスの頭が疼き始めた。
ピアノ、真っ白なグランドピアノ。
___お前楽器好き…から…
___いらないよ…ご主人…さ…
___駄目…だめ…
___死なないで…
___絶対…
___楽器…そんな…
___…お楽しみ……大…す…
「…!!」
赤い髪の少年。
綺麗な顔をしてて
背が高くて
真っ暗な服
かっこいいすごく
優s頭も良i文武両ど才色兼b
で。
自分が大っ嫌い。
「!う…?」
一瞬、腕の中でボロ切れのような少年が泣いているような幻覚を。
フェニックスは見た気がした。


