Death-planetに浮かぶ星舟は何処までも孤独で、でもその周りの星たちは酷く綺麗だ。
セレンは船縁に肘をついて頬杖をついた。
「…」
おもむろに、セレンは左手の中指の先にルビーを創った。
続けて、親指にクリスタル、薬指にサファイア、人差し指にオニキス。
空いた小指にタイガーアイ。
「よ、セレン。…ん?」
何それ、とフェニックスが微笑んだ。
「欲しいか。」
「捨てるんなら頂戴。つか、魔力の無駄遣いすんな。」
一日に使える魔力には限りがある。
ましてや創造系に属する万能創造魔法は最も高度で、激しく魔力を消費する。
「平気だ…暇を持て余していて。」
「気をつけろよ。前、魔力喪失状態になりかけたろ。遊ぶんならせめて交錯魔法にしとけ。」
夢術と組み合わせて使う交錯魔法ならまだマシだとフェニックスは言った。
「…」
セレンは返事をせずに、5つの宝石を宙に放った。
受け取ったフェニックスはクスッとしてルビーを覗き込む。
「すっげー綺麗な色…」
透明なそれの先には、何故かボロボロの服を着たセレンの後ろ姿。
「もう…時期だ。」
「…ん?なんて?」
「もうすぐ着くと言ったんだ。」
だんだん近づいてくる星に、セレンは憂げにじっとしていた。
甲板を覆うドームは、何処までも透明だ。
「中入れよ、セレン。」
「…」
促すと、セレンは扉を開けて船内に入る。
フェニックスもそれに続いた。


