ごめんなさい。
ホセはそう言った。
「俺は、ここに居て幸せです。みんな、俺を想ってくれて、好きでいてくれて。」
「ねえ、食べる?ホセくん。きみ好きでしょ。」
「ありがとう、スレプト。」
緊張しているらしいホセに、スレプトラットがケーキを差し出す。
ケーキを受け取りながら、ホセは礼を言った。
「だから、帰れません。」
フェニックスと一緒に行くということは、みんなを裏切る事になるから。
「さようなら。」
今まで、ありがとうございました。
深く頭を下げて、ホセはそういった。
ヤーンの尻尾は下がって僅かにゆっくりと揺れている。
キセノンは微笑んでホセを見ている。
スレプトラットは垂れた目でホセを心配そうに見ている。
「…うん、分かった。」
フェニックスはそう言った。
「ここなんだよな、お前の居場所は?」
頷いて、ホセはこちらをそっと見つめた。
「ありがとう。」
ごめんなさい。
「謝んなくていいよ、ホセ。俺、すっごく嬉しいからさ。」
フェニックスは、ホセに近づいて手を握った。
「大丈夫なんだよな?辛いことないよな?」
「…はい。」
「よかったぁ…っ…」
覆い被さるようにしてホセの方へ倒れかかったフェニックスをヤーン達は警戒した。
ホセがそれを止めて、フェニックスに抱きしめられるままにした。
「美味しいものいっぱい食べさせてもらえよ、あったかいベッドで寝かせて貰えよ?」
「…はい。」
「いっぱい楽しいことしろよ、働いてばっかじゃなくて遊べよ?」
「…はい。」
「ホセ。俺絶対お前のこと忘れないからな。」
「…忘れていいよ。」
「ううん、忘れない。絶対。」
最後にフェニックスはギュ、とホセを抱きしめた。
「上手くいかなかったら、いつでも戻ってこいよ。もう居場所がないって考えるなよ、ちゃんとあるからな?」
「…要らないよ。」
「いいの!」
きゅ、とさらに強くホセを抱きしめたフェニックスは、にっこりと笑った。
「元気になったら戻ってこいよ。」
俺がお前を忘れるまでに。
フェニックスはそう言って。
一粒だけ泣いた。


