「面倒な事になった。」
朝包帯を巻きっぱなしのアイスがそう言ったのは9月も終わりかけた28日の事だった。
「地獄から召集がかかった。応じなければ除名すると。」
まあ行くつもりはない、とアイスは言った。
「一応知らせておく。俺は閻魔を敵に回すからな。」
「閻魔ぁ?」
「地獄の最高看守だ。俺たちは閻魔と呼んでる。」
いけ好かない、と珍しく不機嫌そうにアイスは言った。
「427を奴隷扱いする奴の1人だ。可愛い427を機械のように…あの可愛さが分からないのか?」
「…うん、それにも色々言いたいんだけど、その閻魔さんってアイスの上司だよね?」
「そうだ。魔界派と研究所派が争ってる中で、閻魔派と魔王派と鬼族派も争ってるんだよ、面倒だ。427の取り合いだがな。」
「ホセの?」
「…ああ、閻魔は427を捕獲、服役させて地獄の為に働かせようとしてる。魔王は427のジュエル家を保護するつもりだし、鬼族派の奴らは殺そうとしている。」
全く酷いものだ、とアイスが言った。
「427の所為で世界中が滅茶苦茶だ。」
でも何処か楽しそうで、嬉しそうだ。
「…で、お前は何で地獄に逆らうの。」
「快感だからな。」
ゾッとするような声だった。
「世界中が求める天使を俺一人が所有して…俺無しでは生きられない身体にして…俺しか見えないようにして…俺の好きにしてやる。」
最高の享楽だろうと、ククと笑ってアイスが言った。


