「…何をされるんですか。キセノン様」
「不安?」
こちらを振り返って、キセノンは悪戯に言った。
「君の能力をガンガン上げてこうと思って。地獄の苦しみだと思うけどまあ頑張れよ?」
簡単に死なないのが良いよなーと冷酷に言ったキセノンにホセは頷く。
「あ、ついたな。此処だよ。」
長い袖をどうしようもなく垂れさせつつ、キセノンは巨大な水槽を見せた。
「君らゴミ共…つまり吸血鬼だけど、なんであんなに強いか知ってるか?」
「身体能力が異常で…」
「それもあるけど一番は進化の速さだよ。」
「…え、あ…嘘…」
「あのさ、一を聞いて十を悟るな。オレの説明好きどうしてくれるんだよ。つか怯えてるわりにえらい従順だなおい。」
早速側のフックに手錠をひっかけたホセは水槽の縁に立っていた。
「準備すんな。さすがにお前頭おかしい。」
まー概要説明だけさせろよ、とキセノンは楽しげに言った。
吸血鬼ってのは一族毎に死に絶える前提の生物だ。
種のために尽力してるかどうかはともかく、一応生きようとする。
それで活躍するのがこの能力。
爆速進化だ。
普通の生物が何億年かけるところの進化を、お前らは数時間、場合によっては数分で終えてしまう。
普通の吸血鬼はそのかわりおっそろしく知能が低いからまあ手の打ちようはあるわけだが。
お前みたいな貴重種は頭脳もあわせ持ってるみたいだな。
だから早いと思うぞ、進化。
ところで進化っていうのはとりあえず黙ってても始まるものじゃないからな。
手始めに。
「分かってると思うけどエラ呼吸マスターしてこーい。」
ホセは躊躇もなく水中に身を投げた。


