「後輩?」
「…そうだ。数少ない変わり者の1人。ヴィセーブ=ホセという名だ。」
「そいつも悪魔科?それともこの銀河にいるってことは…」
「悪魔科の人狼だ。」
そっけなく答えたセレンは美しい横顔のままチラとフェニックスを見た。
「キングは何処にいる。」
「その辺にいるだろ?あんま気にしなくていいと思うぜ、いろんな意味で。」
「…分かった。」
セレンはそう言って、ふぅと溜息をついた。
「何、その物憂げなイケメンフェイス」
「久しぶりだから何か手土産でも持って来れば良かった。」
「…ふーん」
深く考えずにそう言うと、フェニックスはグッと背伸びした。
「あとどんくらいで着きそう?」
「1時間もかからない。降りる準備はしておいたほうがいい。」
「久しぶりだよな、星に降りるの。」
「一ヶ月くらいぶり?」
「そんなに経ってたっけ?マジ時間の感覚ないよな。」
ウィングはそう言って多少荒れた銀色の髪をかきあげつつ何故か静かなアクアを見た。
「アークア!どったのそんなに深刻な顔して」
「少し黙っていていただけませんか、おしゃべり鳥。スズメレベルの脳の小ささですね小顔なだけにその頭には5gも脳みそ入ってないんじゃないですか?」
まくしたてられた罵詈雑言の雨嵐にウィングは立ち向かう。
「あーもー何でそんなにつれないんだよ?」
「つれない?ご存知ですかそもそも私とウィングの間には天と地の差の語彙の壁が立ちはだかっているんです。つまりそもそも同じ土俵にたつどころか鳥と人間の会話が成り立つはずないのです。一石二鳥と一朝一夕と朝三暮四の違いが分からない鳥にいえ昆虫に何故私が懇切丁寧に話さなければならないんですか?」
「なあアクア君俺に何の恨みがあんの?俺謝るよ、土下座するから許してよ?」
「昆虫ごときが私と対等に話そうとした罪許しはしませんが土下座はして下さい。」
理不尽にそう言ってアクアはセレンを上目遣いに見た。
「セレにぃ私あの星好きじゃないです。」
「そうかじゃあ飛ばそうか。」
「セレン!?」
あっさりと操船室に向かおうとしたセレンにヘリオが叫んだ。
「後輩と会うんだろ!?」
「…いや、ピョンピョン跳ねまわって千切れんばかりに尻尾を振っていたあいつには悪いが、訪問は十数年後にす」
「行ってあげて!セレン!その後輩が不憫すぎるから!!」
「…ごめん、アクア。」
呟いてセレンは自室に戻ったようだった。


