☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-


9月初日の深夜3:00。

複数人の気配に、アイスは飛び起きた。

半ば仰け反るように跳ね起きた勢いで、眠っていたらしいホセは目を覚ます。

「アイスさん…」

周りを囲まれている。

アイスはそっとホセを抱き寄せた。

「お前は必ず守る、いいな。」

ホセは戸惑ったように頷く。

外の気配にはとうに気がついていたけれど。


微かに鼻腔をくすぐる火の薫りに、アイスは顔をしかめた。

面倒なことに、と。

信用されていないホセは担がれ、そのまま寝室を飛び出す。

素足に積もった雪が押し付けられ、アイスは顔を歪ませ痛みに耐えた。

「アイスさん…?」

「動くな…っ街まで行く、その後この星を出る。お前は黙って担がれていろ、427。」

「でも…」

氷点下を優に超えた気温が容赦なく、ただでさえ冷たいはずのアイスの体温すら奪った。

数十秒で歯が噛み合わなくなる。

痛い。

涙が凍り、瞳を刺す。

肺の中が凍る。

声帯が動かない。

限界を超えた極寒の中の逃走劇。

船橋に着いた頃には、移動魔法を使ったにもかかわらず身体が凍え切っていた。

寒いを越えてもう痛い。

激痛だった。


「アイスさん___」

ホセの囁きも、途中までしか聞こえなかった。


熱い。

熱い。

あつい…

耳鳴りがする。


突然熱い液体に晒され気絶しそうになった頃、持ち直した意識の中僅かに香る血の匂い。

まさかホセがやられたのかとアイスは一瞬思ったが、結論は直ぐに出た。


___ああ、俺が死ぬのか。


ドサ、と倒れ伏して大量に広がる血の中、何処か夢を見ているような気分でアイスは目を閉じた。