「…っはぁ、キース、ウィング追っかけんな。ちょっと1人にしろ。」
今すぐにでも飛んでいきたいとばかり追いかけかけていたキースは、仕方なくといった風に止まった。
「どうして?ウィング慰めてあげなきゃ、僕」
「だからこそだよ、あいつ何気に客観的だからさ、こういう時は1人にしたほうが効く。」
「…うん。」
キースはこくんと頷いた。
「大丈夫だよ、ホセと違って自殺はねーさ。あいつの場合一瞬でも1人にしたら覚悟決めなきゃいけないけど。」
フェニックスはそう言って、傍にいたアクアの頭に手を置いた。
「俺もホセは吸血鬼っぽくないと思うしな、いい意味で。」
「?」
「まず単純に、あいつは異常に禁欲的だ。そしてすぐ宗教にはまる。」
「え?宗教?悪魔なのに?」
キースが素っ頓狂な声を上げた。
「そ、悪魔なのに。今は落ち着いてるけど熱心な信者なんだ…あいつロザリオつけてたろ?いっつも。」
「ああ…そういえば…」
「まあ他にも理由はあるけど十字架は好きだったぜ、悪魔なのに。」
キングはそう言って溜息をついてパンパンと埃を叩いた。
「信心深くてさ、懺悔に懺悔に…ま、つまりそういうタイプだったの、強欲な吸血鬼とは程遠い。」
キングはそう言って、白衣のポケットに手を伸ばした。
「…あ、禁煙中だったっけ。」
伸ばした手を引っ込めたところに、アクアが言った。
「あの…おにいちゃんどうなりますか…?」
「お兄ちゃん大丈夫。ちゃんと連れ帰るから、心配すんな。」
わしゃ、とアクアの髪を撫でてからフェニックスは俯いた。
「…ちょっと、休んでて良いですか?」
「ああ、いいよ。」
微笑んでフェニックスは言った。
「アクアはアクアで悲劇だよな。」


