「うるせぇ黙れ!!」
「ウィング!!」
少し前、何とか船内に引きずり込んだウィングは、激しく暴れていた。
抑え込むキングとフェニックスは必死だ。
「何でわからねーんだよアクア!!吸血鬼なんて1人残らずクズだ!」
「分からず屋はそっちです!!何で、何で!!お兄ちゃんが吸血鬼だからって何!」
アクアはアクアでキースに捕まっていた。
しかしさすがあの冷血と同じ血が流れているだけある。
比較的冷静だった。
「うるさい、お前だって毒されてるんだろ、アクア!」
「言い過ぎだウィング!頭冷やせ!!」
「黙ってろ!お前らは直接あいつらを見たことないからそんなこと言えるんだよ!!」
「ウィング!10秒以内に黙れ!じゃなきゃこの腕折るぞ!」
無理やり組み伏せられて、ウィングは呻いた。
抵抗を止めて、アクアを睨みつける。
「なあアクア、いいこと教えてやるよ…」
ウィングは憎々しげに言った。
「このゴミ箱みたいな世界で生き残る奴はさ、アクア。
強者でも弱者でも、ましてや善者でもねーんだよ。」
綺麗なお前は知らない、何故人間が、こんなに醜くて愚かで弱い人間が生物の頂点に立ってるか。
「アクア、最強は、悪者なんだよ…!」
他人を蹴落とし、他人の意見を無視して自分勝手に行動する悪いやつ。
他人の痛みがわからない悪魔。
悲鳴が聞こえない権力者。
強くても、いいやつだったら殺されるんだ。
弱くても、最低だったら勝てるんだ。
理不尽?
違うよこれが、世界の真理。
悪が必ず勝つ世界。
それなら、俺だって悪になる。
そして、悪を裁く。
「お前の兄貴みたいなクズを!!」
逃れたウィングは自室に飛び込む。
ダン、と激しく扉が閉まった。


