「フェニックス様、お顔がだらしなく弛緩なさっていますがどうかなさいましたか?」
こう腹立たしくも話しかけてきたのはチビ児童アクア。
水色の髪の美少女だが、俺に言わせれば。
「黙れ美童女」
「童女!?」
ショックを受けているようだったが放っておこう。
あの幼女は黙して泣いていればいいのだ。
「ぶっ飛ばすぞ!?何アクア虐めてんだ!!」
「黙っとけナルシスト。自己陶酔野郎」
「だから何のうらみがあ」
うざいので途中でうずまき管の機能を停止させた。
このやかましいのはウィングもとい自己陶酔野郎。
自己陶酔野郎と書いてナルシストと読む真正の自己愛異常野郎だ。
そのひとっかけらでもあいつにあげたいものだが、やっぱり無理だろう。
「…」
馬鹿が移ったら大変だ。
「それもいいんじゃねーの?」
そこで楽しそうに真っ黒な笑顔を浮かべているのは腹黒船医、キング。
一応医者だが、命が惜しいならかからないほうがいい。
腕はいいが、病み系のサディストだからだ。
最悪。
好物は胆のうと真顔で言いやがった。
すっごく気持ち悪い。
「やめよう、キング」
一番地味なのがキース。
地味だ。
天使だが地味だ。
苦労性で地味だ。
地味で地味だ。
あんまり地味地味いうと好感度が下がるから口には出さないがみんな思っている。
地味。
すっげー地味。
誰がどう見ても地味。
だが性格は天使なので、地味でも船内での好感度は二三を争う。
ちなみに三位と四位の差が広い。
最下位はもちろん腹黒ヤンデレだ。
ヤンデレからデレ引いた奴だ。
あ…自己陶酔も結構良い線行ってる。
人によって分かれる。
好感度ワーストを競う。
うわぁ…
そんな賑やかな檻の中。
不意にかけられた声に静まり返る。
「黙れ」
と。
そして俺の中でぶっちぎりの好感度を誇る絶世の美少年は。
看守服で、薄く嗤ってこちらを見据えた。
…檻越しに。


