「来い、427。」
「…御用でしょうか。」
そっとすりよってきた427に、俺は微笑む。
「動くな。」
そう警告してから、首筋に手を伸ばせば、目的を悟ったのか427はビクリと震えあとずさった。
「動くなと言った筈だ。」
「嫌です、嫌です許してそれだけは…」
逃げないように捕らえた427の体をベッドに向かって放り投げ、上半身を起こさせて華奢な両足の上に飛び乗る。
それだけで身動きが取れない427は激しく首を振って拒否したが、抱きしめるように押さえつけて首のネックレスを引きちぎった。
今にも折れてしまいそうな細い首に傷つかないように、間に右手を挟んで。
「う、ぐ、嫌です…ぁ…いゃ…あ…駄目、あ、アイス、さん、許して、許、して…」
軽く自分の首筋を切って出血させて427の吸血欲を誘う。
そのまま無理矢理427の頭部を首筋に押さえつける。
しばらくは抵抗していたが、大人しくなってコク、コクと喉が動くのを感じた。
同時に襲いかかってくる倦怠感をゆったりと受け流しつつ、すすりなく427の頭をそっと撫でてやった。
「うっ、ぐ、う、うぅっ…」
涙を流しながらそれでも吸血欲には逆らえず427は泣く。
この行為に、427は嫌悪感を隠さない。
…吸血鬼は、そこまで危険ではないのだ。
こうやって定期的に血を与えてやれば渇くことはない。
戦闘すれば血を使うから、戦わないこういう吸血は1日2回してやれば充分だ。
一度でもいい。
三度やって次の日抜いても…
命に支障はないし、問題があるとすれば滅多に血の提供者がいないことと吸血鬼は殺しが好きなことだ。
「っ、んく、あ!」
グッと顔を反らした427は泣いている。
吸血を、こいつは嫌う。
「…427。」
「っ、酷い、アイスさんまた…また俺は…」
「…」
こういうとき、決して427を離さないようにしなければならない。
前一度一人にしたら10分後多量出血で気絶していた。
こうやって、黙って頭を撫でてやればいい。
泣き止むまで。
それが一時間だろうと1日だろうと。
こうやってしている間は427の時間だ。
好きに甘えさせる…427は、きっとこの時間が一番幸せだ。
そして、一番嫌いだろう。
地獄でも、この行為は数度やった。
頻度は少なかったが、防音室で完全拘束の上半ば流し込むように吸血させた。
そうでなければ舌を噛み切ってでもその行為をやめたがったし、実際失血死寸前まで追い込まれた。
「…アイス、さん」
心配するように俺を上目使いに見てくる427。
涙で濡れた瞳は、苦しげに歪んでいた。
「罰だ、427。」
そういって、俺はゆっくりと427を抱きしめた。
「…っ、う…」
震える体は、どこまでも冷たくて。
それよりきっと冷めきった俺の体温では、きっとこいつを温めることはできないだろうけど。
お前を幸せにできるのは俺だけだから。
誰にも渡さない。
心の中でそう誓って、427が泣き止むまで優しく背中を撫でていた。


