☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-


ピクリともしないホセに、ウィングは憎々しげに唾を吐いた。

「ありがと、船長。」

「なんで?」

「俺止めてくれて。多分あのままだったら俺殺されてた。」

淡々とウィングはそう言った。

「それはねーだろ。」

と、そう言ったのはキングだ。

キースを背負っている。

「万が一にもあいつは俺らを傷つけねーよ。そんなメンタルねーし。」


「そうだな。」

ウィングは聞いた事のあるような声にグッと振り向いた。

フェニックスが転ぶのがそれとほぼ同時で、ホセを取り落としそれを男が取り上げた。

「427は貰っていく。」

「っ!」

白銀の髪に、酷薄なグレーの瞳。

男のくせにやたら長いまつ毛で、憂げな表情はホセと似ているようでまるで違う。

青白い肌は死者と交わる地獄の看守独特の冷気を纏っている。

長身の青年、アイスは酷く楽しそうに嗤った。

「…?」

「セレン…いや、ホセの看守だよ、アクア。残虐非道なクズ。」

「そこまで言われる覚えはない。」

アイスは少しムッとしたようだった。

「じゃあな、…ご主人様?」

フッと振り返るようにして、アイスは消えてしまった。