「業火…地上花火。」
それを合図のように、キースが襲いかかった。
セレンからしてみれば猫パンチにも劣る体感速度で、目を閉じセレンは指先を軽く動かした。
「うわぁっ!?」
瞬時にキースは目を回して倒れる。
「…うう…頭…痛い…」
「…」
セレンはそんなキースを見下ろす。
次はお前とばかりにウィングを見つめ、そのまま圧をかけた。
心理的な、精神的な圧。
殺気とも覇気とも言える。
「…っ」
ウィングはたまらず押されて一歩引いた。
俯いて、次に無差別に。
あまりの威圧感に、セレンの髪が揺らいでいるようにすら見える。
「ウィング、座ってろ。お前じゃセレンには勝てない。」
ウィングは、糸が切れたようにぐったり倒れる。
服従する事で、その威圧感は消えた。
「…お兄、ちゃ…ん?」
「…」
セレンはハラリと後ろを向いた。
「黙ってろ。」
アクアは怯んで、ポロリと涙を流した。
「…なんで?」
「お前は馬鹿だ。」
セレンはそう言った。
「お前は何度もチャンスをふいにした。なあアクア。」
人がいつまでも変わらないと思っていたのか?
「お前は愚かだ。」
「…!まさか、お前が…!?」
「そうだよ、ウィング。」
セレンはそう言った。
「俺がアクアの探していた奴だよ。」
___お兄ちゃんは、私が三歳だったときに六歳だったので…たぶん今十七か十六か十五。
___性別は男、髪と瞳は共に綺麗な赤です。お兄ちゃんと最後に会ったのは三歳の時なので…あんまし覚えてないんですけど。
___二人とも優しいんです、すっごく。
___病院に行ったあと。私は知らない大人の人に連れて行かれました。
___姪っ子がいたんだ、その子に似ていた。
___他人も同じだ。…血縁者として最後に会ったのは彼女が3つのときだったから。
「…!」
奇跡の妖精の探し人“お兄ちゃん”と“ジュエル様”は同一人物。
目の前にいる、完全なる美少年だった。


