戻ってきた石造りの城はほとんどガラ空きだった。
「罠丸出し…」
「おいおい、問題ねーよ。」
怖気付くウィングに、キングが言った。
「あいつが一人で待ってるさ。変なところで律儀なやつだから。」
果たして、その通りだった。
暗い舞台のような所に、セレンは腰掛けて足をブラブラさせていた。
3本のナイフをジャグリングしている。
フェニックスたちを認めて、それを一気に4本増やした。
確かに律儀だ。
「…100時間は待った。遅い。720時間以上は経った。遅い。飲まず食わずだぞ、餓死させる気か。遅い。」
「…ゴメン。」
フェニックスは素直に謝った。
「ほんっとゴメン。まさか飲まず食わずとは思ってなかった。」
「…別にいい。」
セレンがパチンと指を鳴らすと、背後の舞台に明かりが灯った。
「!」
「こういう事だ、フェニックス。」
椅子に縛り付けられたアクアが、その舞台の上にいた。
「…」
「上から言われててな、お前らをとらえて来いって。」
だが闇雲に動くよりこっちの方が良いだろ?
「お前らはアクアを見捨てないと思ったよ。お前らは本当に、俺の期待を裏切らない。」
身体大事にしろよって言われてるんだ。
優しいだろ?
死ぬくらいなら逃げて来いって。
優しいだろ?
「だから期待に応えたいんだ。」
微笑んでセレンは幸せそうに目を閉じた。
「じゃあセレンは幸せ?」
フェニックスがそう聞くと、セレンは頷いた。
「俺はここを離れる気はない。仲間はみんな優しい、とても親切だ。」
「…」
「だから。」
丸め込むつもりなら、諦めろ。
不敵に笑って、セレンは酷く美しく首を傾げた。


