☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-


石造りの砦は、今にも崩れ落ちそうな勢いで落盤していた。

左右にある牢も歪んでいる。

「…平気?フェニックス。」

キースが心配そうにそう問いかける。

気を失ったアクアを担ぐウィング、足が悪いキースを担ぐキング。

ととと、小気味好くリズミカルに響く足音。

「んーよゆーよゆー!」

調子に乗って、フェニックスは片腕でぴよこぴょこ飛び出した。


しばらくして見えてきた明るい出口に、全員が示し合わせたようにスピードを上げる。


ず、ドン。


「っ!」

「…」

キングが転げた。

派手に転んだらしく、口に入った砂を吐き出す。

そのまま立ち上がり、2、3度頭を振ってキングは溜息をついた。

「あんときの仕返し?」

「どうだろうな。」

お前案外子供っぽいのな、キングがそう言って、臨戦態勢に入った。

フッと振り返ったヘリオは、確かにアクアを背負ったセレンを見た。

「助けに来いよ…待ってるから。」


それすら夢のように、霧のように消えてしまった。