石造りの砦は、今にも崩れ落ちそうな勢いで落盤していた。
左右にある牢も歪んでいる。
「…平気?フェニックス。」
キースが心配そうにそう問いかける。
気を失ったアクアを担ぐウィング、足が悪いキースを担ぐキング。
ととと、小気味好くリズミカルに響く足音。
「んーよゆーよゆー!」
調子に乗って、フェニックスは片腕でぴよこぴょこ飛び出した。
しばらくして見えてきた明るい出口に、全員が示し合わせたようにスピードを上げる。
ず、ドン。
「っ!」
「…」
キングが転げた。
派手に転んだらしく、口に入った砂を吐き出す。
そのまま立ち上がり、2、3度頭を振ってキングは溜息をついた。
「あんときの仕返し?」
「どうだろうな。」
お前案外子供っぽいのな、キングがそう言って、臨戦態勢に入った。
フッと振り返ったヘリオは、確かにアクアを背負ったセレンを見た。
「助けに来いよ…待ってるから。」
それすら夢のように、霧のように消えてしまった。


