「閻魔を?」
「そうだ。…とりあえず、森に入るか。ここじゃあたりから丸見えだ。」
二人が話しているのは時計台の展望デッキで、クラウンはしかし首を振った。
「いいえ…下に降りましょう。私一応ここ気に入ったの。」
時計台は廃墟と化した街の中で唯一とも言えるまともな建物で、なるほど中もまだ綺麗だ。
ゆっくりと螺旋階段を下りながら、サトリは呟いた。
「お前は…他種族にも丁寧なのだな。」
「ごめんなさい、何か言った?」
そう言って振り返ったクラウンの瞳には真っ青なクリスタルが回っている。
ストレートの輝くような金髪は、サトリもうっかりすれば見とれそうなほど綺麗だった。
「…いや、後でいい。」
「そう?」
無防備に背中を見せているだけではないだろう、サトリは後ろを歩きながらそう思った。
リラックスしているようで、クラウンの神経はこれ以上ないほど研ぎ澄まされていた。


