「ブライド。」
「…」
「ブライド。」
「…」
「ブライド。」
「!」
ヘッドホンをして腕立て伏せをしていたゼロは肩に手を置かれビクッとして振り返った。
「あ、ああN…」
「鍛錬か?」
「ええ…明後日ですから。」
「真面目だな、お前は。」
「いいえ、そんなことは…」
実際問題ゼロに筋肉というものはほとんどなく、パワーイコールで馬力なのだが、じゃあゼロは今何をしているのかというと。
心臓に負荷をかけているのだ。
「大丈夫か?無理をするなよ。」
「平気です…」
呻きながらゼロは立ち上がり、タッタッタッタとリズミカルに走りだす。
「はっ、この馬力を、はっ、百パーセント稼働させるには、はぁっ、もっと、もっと…はっ、はっ…」
「…」
高い負荷をかければそれだけ重いエンジンが動かせる、それで強い力が出る。
だがつい先日、いけると思って勝手に搭載したものが重すぎて動かせず、危うく死ぬ所だった。
思いっきりホセにタメで嫌味に説教されて(ゼロさんって何考えてるの。天才過ぎて俺には理解できないんだけど。でもさ倒れるってやっぱりやり過ぎの気がするんだよね。ゼロさん俺のこと信用してない?え?俺無理だって言ったよね?言ってなかった?え?なんか言いたそうだね?)危うくホセのことを嫌いになりかけたが、向こうもかなりのブチギレモードだったらしく数時間後涙ながらに謝られた(ごめんなさいゼロさんお願い嫌いにならないで…)。
「ブライド。ジュエル君にも止められていただろう。」
「…言いつけますか?またあのお説教聞きたくありませんからやめていただけるとありがたいですが。」
今度聞かされたら本気で嫌いになりそうだ。
いつも敬語の後輩キャラのホセが突然キレると思いっきり偉そうになるので物凄く腹がたつ。
いやそれがまあ当然だと言えばそうなのだが、やっぱりいつも礼儀正しいと慇懃無礼感が否めない。
「…言わないさ。」
「ありがとうございます。」
「ブライド、明日は」
「問題ありません。」
ゼロはNの言葉に、笑顔で被せるように言った。
「赤子でも勝てる策がありますから。」
その笑顔は、Nが見たこともないほど自信に満ち溢れて。
最高に幸せそうだった。
まるで。
そう、あれはまるで…


