___わぁぁぁん…!!
「クス…フェニックス!!」
物凄いサイレンとウィングの声で、フェニックスは目を覚ました。
牢が開いていて、セレンが血を流して呻いている。
つい癖で(どんな癖だ)フェニックスはセレン、と声をかけようとしたが、自分をを捕らえたのがセレンだと思い出した。
「おい、とにかく逃げるぞ、船長さん。アクアちゃん気失ってるし。」
キングがいたって楽しそうに言った。
「馬鹿…セレン置いてく気かよ!」
「悪いけど連れてく余裕ねーよ。だってお前歩けねーだろ?さっきの落盤で。」
言われてフェニックスは足元を見た。
両足が見るも無残に潰れている。
でもまあ、折れてるだけだろうから問題ない、フェニックスは思った。
「じゃ俺を置いてけよ、セレンは絶対連れてけ。」
「あのなぁ。」
ウィングが呆れたように言った。
「あのなぁなんだよ。セレン置いてくんなら俺は行かないからな。」
「黙っててもあいつにも一応仲間いるだろ、助けてくれるよ。」
石の砦は今にも崩れ落ちそうで、その崩れによって檻が歪んだらしい。
セレンが話してたところによればここはセレンが見つけたところだそうだ。
ここの支部を、セレンが受け持ってるらしい。
だから、不自然だろ?
そうとは言っても確かに敵がセレンを生き埋めにして捨てるとは考えにくいので、フェニックスは立ち上がった。
「…」
駄目になった両足の代わりに、両腕で。


