数時間後、ホセほどでもないにしろ超人的なスペックのゼロは魔法も半分ほど使いこなしていた。
ホセは絶賛していたが、ゼロはまだ満足していない。
ホセにおやすみを伝えた後も、一人練習に勤しんでいた。
「…さん、ゼロさん、ゼロさん」
「…ん…?」
薄眼を開けて、ゼロはこちらを覗き込むホセを見た。
随分心配そうだ。
「どうしました?何か不都合なことでも…うっ!」
ゼロは起き上がったところで恐ろしいまでの脱力を感じ呻いた。
「ああ駄目。ゼロさん疲れてぶっ倒れたんだよ、おやすみって言ったじゃないゼロさんの嘘つき。」
責められてゼロは怯む。
「すみませんでした…でも大丈夫ですよ、すぐに動けますから。」
「動かないで下さい、3日は絶対に駄目です。」
「…とんだロスタイムですね。問題ありません、私の体なんですから私が自由にします。でも君にコーチをお願いすることはありません、あとは数をこなすだけ」
「駄目です。」
ホセはきっぱりと言い切る。
「…何故ですか?」
「元々ゼロさんの体は夢術及び魔法を使えるようにはできていません。ゼロさんが天才でしかもイケメンだったから失念していましたが、ゼロさんが全くできないと泣き出しても余裕でフォローが可能なのです。」
「イケメンってなんですか…君は私のことをなんだと思っているんですか?君に直々の指導を受けて何もできないじゃ切腹モノですが。」
「大丈夫、ゼロさんの腹部は名刀ごときでは切れません。」
「L君、じゃあ何を使えば私の腹部は切れるんですか。君一体私の体に何を使ったんですか。」
ゼロの体は八割ほど金属で、神経のかわりに伝導性プラスチック、心臓の筋力で血液を肺循環させ、体循環の方で発電しそれをエネルギーにしている。
身体の作りとしては植物に似ており、水分、酸素、養分、エネルギーを運ぶ管は全てバラバラだ。
ちなみに酸素と養分を必要とするのは主に脳と心臓だけで、それ以外の場所には必要ない。
ただ体の表面はゼロ自身の皮膚で覆われているし、頭部もほぼゼロのものだ。
「ゼロさん度は5〜10%です。」
「誰がそんなことを聞きましたか。どいて下さい、というか離して下さいL君。」
ガッチリ捕まったゼロは至極丁寧にホセを殴った。
肩を。
「優しい、優しいよゼロさん…痛くないように上手くツボをついてくれるマッサージ式のツッコミ…」
「君が私を神格化したいのは分かりました。あることないこと言いふらす気満々なのも分かりました。無理だと分かっていても言います。やめて下さい。」
ゼロは慇懃無礼ならぬ慇懃有礼な態度で微笑んだ。
疲れ切ったような、そんな笑顔だった。


