「いったいなお前は。長いリーチを生かすな。痛い。」
「離せ離せ!!」
「よしよし恥ずかしがるな。酷い目に遭わされたときくらい黙して泣け。」
「今の状態が最悪です!!離せ悪魔殺してやる!!」
「はいはーい。」
「L君の元に行かなきゃ、L君を助けなきゃ駄目なんです!!」
「お前の教祖様は魔王の奴が助けに行ったから大丈夫。ったく可愛い顔してギャーギャー言いやがって。」
「誰が可愛い顔ですかこのっ!!」
「急所を蹴るなよドスドスと。ビックリするくらいの美脚で。」
「うるさい殺す!!」
「わーったって言ってるだろ。でも後だ後。」
「離せ下ろせこの馬鹿!!」
「あんまり体力使うな。」
「はーなーせーっ!」
「…っかはっ?!」
ゼロはアイスの鳩尾に渾身の一撃を入れる。
アイスは耐えきれずゼロを離し倒れた。
「ブライ、ド、はぁ…行くな、待て…ブライド…お前の身体…」
「貴方の体力ならすぐに回復するでしょう。私はL君を助けに行きます!」
「馬鹿、ブライド、もう…これ以上身体傷つけたら…」
走って行こうとするゼロに、なんとかしてアイスは縋り付く。
ゼロにこれ以上負担をかけるわけにはいかない。
これ以上…
「ブライド、頼む、大人しく担がれてくれ…もう、お前の身体…ボロボロなんだ…」
「何を言っているんです?私は閉じ込められていた…だ……け…………」
あれ?
「ブライド、ブライド!!」
やっぱり、気がついていなかった。
あの部屋には、毒ガスがずっと送り込まれていたのに。
毒は肺から取り込まれ血液によって全身に運ばれる。
一度効果が現れると酷い。
だがその毒性は低く、長い間吸い続けても綺麗な空気を数日安静にして吸っていれば毒は抜ける。
つまり暴れて無駄に血液を循環させてしまうと。
激痛を伴う激しい異常な心臓の鼓動で動脈が破れ、数分で死に至る。
「あれ…?」
ゼロの場合。
体は八割ほど金属で、神経のかわりに伝導性プラスチック、血管は心臓の筋力で血液をループさせその力で発電しそれをエネルギーにしている。
身体の作りとしては植物に似ており、水分、酸素、養分、エネルギーを運ぶ管は全てバラバラ。
しかしその機能は全て心臓とその周辺で作られる電力によって賄われている。
よって。
心臓が止まれば。
単純な話、バッテリーが壊れたと同じこと。
「あ…ビ…ブロ…ビビッ…ウ…ビビ…」
最後に、驚いたような表情の後ゼロは目を閉じ動かなくなった。


