「キース。」
「あ、セレン!」
「見つけたか?」
ウィングの問いに、セレンは首を振った。
「いつものところにいない。あいつも知恵をつけたようだ。」
「お前…自分を敬愛してる後輩にそれはないだろ…」
「あいつは狼だ。大方動物は小さいのとふわふわなのが良いんだ。」
「だから可哀想すぎるだろお前。」
「羊の天敵だしな。」
「…セレン、嫌われちゃうよ。」
キースの忠告にも耳を貸さない。
「そこの道の先でも見てくれないか。俺はあっち側からまわる。」
「はいよぉ。」
二人を置いて、セレンは一本道の先に回り込んだ。
重い鉄球がズルズルと引きずられる音がした。
「セレにぃじゃないですか!最近大人しいアクアちゃんに御用ですか?」
「何か恨みでもあるのか。いやあるんだろうが。」
「おい可愛いアクアちゃん、より可愛いセレンちゃ」
「セレにぃ足が疲れました!抱っこ!!」
「…」
このペアは結構凶悪だ。
キングの台詞を遮って、抱っこをねだる…いや強請るアクアは特に。
「…遠目に確認したんだが、T路地にいるようなんだ。悪いがそっち側から回り込んでくれ。」
「えーセレにぃ抱っこは?」
「なんか見返り頂戴?」
「…ヴィス捕まえたら目でもやろうか。」
ふんとばかりにセレンは消えた。


