ヴィセーブが連れられて来た時、彼は気を失っていた。
いや、眠っているだけだろう。
「泣き疲れたらしい、ぐっすりだ。…抵抗したからな、少し手荒なことをした。」
セレンはそう言って背負っていたヴィセーブを降ろす。
「ミューズ、あいつらは。」
「探しに行ったよ、お前らを。」
ミューズは悲しそうにそう言った。
「なんでだよ?ロス。仲良くやってたじゃねーか?」
「…だからだ。」
セレンは言った。
「俺はあいつらを、裏切る。もう2度と許されないくらいに深く、裏切る。」
冷たい無表情、そしてまた暗い無表情。
セレンは自分に言い聞かせるように、俯いたままそう言った。


