「…っちっ!」
その舌打ちには、何に対する苛立ちがあっただろう?
怒りに任せて肩を掴む、その金属に穴が開く。
「…」
はぁ、はぁと荒い息で呻く。
許せない、許せない。
何が?
その問いが揺らめいて、心の中で握り潰す。
俺にだよ、ゼロ。
自分で自分にムカついてる、L君に与えられた使命すら果たせない自分に。
「…どう、しましょうか。」
追いかけても、捕まらないだろう。
だからと言って、どのツラ下げて彼に会えと?
それなら彼に決めて貰おう。
2コールの間に彼が出なかったら、追いかける。
リリリリリリ、と断続的に呼び出し音が響いて消えた。
リリリリ…
『はいはいこちらゼロさん大好きホセくんでーす。ゼロさんの愛のおはようが聞けるなんて天にも上る心地です。さてゼロさん大好』
「おはようございますL君。今からそちらに伺いたいのですがよろしいですか?」
『ヤッタゼロさんのラブコールが直に聞けるとは。ホセくん感激。』
「…君、誰に対してもそうなんですか?それとも私に対してだけなんですか?」
『始めの一言以外は全部違いますイケメンゼロさん。』
「…え?!まさか誰にでも!!」
『はいこちらゼロさん大好きホセくんでーす。』
「通りですね、私の命が狙われる訳です!!」
ゼロはプンスカして言った。
「君の心無い一言で私の耳が吹っ飛ぶ所ですよ!!」
『ああそんな、俺の愛しいゼロさんが酷い目に遭っているなんて。今すぐ行くね俺のゼロさん。はぁと』
「やめてくださいませんかその意味も心にもないラブコール!!私の命がかかってるんですが!!」
『はーい。』
カチャカチャ、音がして通話が切れた。
ゼロは微笑んで、目を閉じた。
「優しい人です、君は…」


