☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-



果たして、ヴィセーブは路地裏に縮こまっていた。

「ヴィス。」

「せんぱい…」

「ヴィス、帰るぞ。」

元気なくヘタリと垂れた両耳の裏をポリポリかきながら、セレンはそう言った。

「せんぱいには分かんないよ。俺の気持ちなんか。」

「ヴィス。」

セレンとは違い少し我儘を言うヴィセーブの髪をクルクル指に巻きつけては解く。

「ヴィス、泣いて良い。そんな顔をするな、せっかくの綺麗な顔が台無しだ。」

「せんぱい…」

ヴィセーブはキュッとセレンの胸元に顔を寄せ、わんわん泣き出してしまった。

「ヴィス、俺はお前が羨ましい。」

「…?」

「ヴィス。俺はな」

あやすような声で囁いてやれば、ヴィセーブはハッとしてセレンの顔を見た。

「駄目だよ先輩、絶対駄目!!だって俺知ってるよ…俺」

「ヴィス。」


黙ってられるな?


綺麗すぎる声に、ヴィセーブはくらりと目の前が霞んだ。