☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-




「お前らに捕まったからには覚悟はできてる…いるんだろ、ウィング。」

ウトウトしていたウィングは、その声で目を覚ました。


目隠しにヘッドホンで大音量のミュージックを聞かされながら、十字架に囚われたホセは、どうやら船の地下牢らしい、そう頭の中で呟く。

「いるよ。」

ウィングは答えて立ち上がる。

「…マイク越しの会話か…いい手だな、音の反響が分からない…骨伝導も阻止したのか?」

「…お前は、俺に聞かれたことだけ答えろ。」

まともに顔は見えないが、ホセは笑っているように見えた。

穏やかに、施されるであろう拷問を甘んじて受け入れようとする。

「一つ目、お前は誰の味方だ。」

「主人の味方だ。」

「具体的に。」

「クラウン、アクア、お前。…助けを求められたら誰にでもつく。」

淡々とホセは言った。

「解放されたら。」

「考えてない。必要がないから…」

ホセは僅かに身動ぎした。

重い鎖が震えて鳴った。

「三つ、アクアとの関係は。」

「…どういう意味だ。」

ホセは掠れた声で問うた。

苦しそうにまた身体を捩って、鎖がまた鳴る。

「お前はアクアの家族か。」

「…いいや、叔父にあたる。俺の年の離れた兄と姉の子がアクアだ。悪魔が家族間で結婚するのはよくあることだろ。」


「そいつらは?」

「姉は出産のショックで死んだ。兄は俺が殺した。」

淡々とホセは言った。

「アクアの祖母と祖父は同じ日に事故で死んだ。親戚は俺だけだ。」

「家は?」

「ジュエル。魔界でも有名な鬼族の家系だった。」

「アクアを三年引き取ったっていうのは。」

「本当だ。」

「そのあと捨てたってのは。」

「本当だ。」

「詳しく話せ。」

「…」

ホセは自重で締め付けてくる拘束を和らげようと身体を揺するが、かえって絞められ荒い息をしながら言った。

「謝礼金は…はぁ…10億だった…やってた仕事も全部辞めた、住む場所も保障された…」

「お前じゃねーよ。アクアの話。」

「囚われて…一週間に一度羽を切り取られた…らしい…地獄の苦しみ…だと聞いた…」

ホセは四肢を震わせて苦しげに言った。

時間が経つほど苦しい尋問。

ホセは耐えながら涙すら流す。

「その後お前は?」

「貰った10億は一週間で使い切った。何にもやる気が出なくてただその辺を彷徨ってた。」

「使い道は。」

「覚えてない…」

諦めたのかピクリともせずホセはそう言った。

「んなわけねーだろ。」

「そう…大したことじゃ…ない…」

「アクアと引き換えの金が?」

「特に…印象…に残ってない…」

「そ。」

ウィングは立ち上がった、そしてホセの足を掴むといきなり引っ張った。

「っあ、あっ、止め、苦し、痛い、もげるもげる取れるってウィングほんと辛い…」

「お前はもっと賢いと思ってたけど。」

「う、ウィン、グ、苦し…」

痙攣し始めたところに、一旦手を離し首を掴んで持ち上げた。

鎖が音を立てて緩み、全身が脱力してホセはガクンと首を垂れる。

「余計な事までなんでもかんでも“忘れられない”お前がアクアに関係する何かを忘れる訳がない。」

「…忘れた。」

「ああそう。」

涙で濡れた目隠しを不意に剥ぎ取られ、ホセは目を瞬かせる。

「プリーズルックアットディス。」

下手な人間語で言われ、霞む目を瞬きホセは前方を見た。

「!?」

「思い出した?」

気を失ったアクアが、そこに鎖で繋がれていた。