「ん…アクア?」
「…ウィング、ですか?」
ぼんやり霞む記憶を辿り、ウィングは足元で倒れるホセを見た。
「…そうだ…俺達…相討ちになって…」
ホセを捕らえた所で力尽きたんだ。
「…こいつ、寝てんのかな。」
ゆっくり起き上がって、ウィングはホセの頰をつついてみる。
動く気配はない。
「…アクア、船戻るぜ。」
「分かりました。」
でも残念です、アクアは呟いた。
「クラウンを取り逃がしました。」
“奴等”に会ったのは2日前だ。
“奴等”もホセとクラウンを…正確にはクラウンを探していた。
「彼はクラウンの兄だ。」
白い装束に身を包んだ彼らは、後ろにいる青年を指差しそう言った。
その青年は、大人しそうな顔で、まるで怯えたようにこちらを見た。
「君達も知っているだろうが、クラウンは最高神…選ばれしものだ。だが彼女は神界を裏切り、脱走した。」
白装束の男がそう言った。
「そして先日、彼女は、彼女の兄…パンドラを殺した。」
君らがキングと呼んでいた青年だ、と男は言った。
「私達は彼女を許さない…御娘様といえど必ず神界に連れ帰り、厳しい罰を与えるつもりだ。」
君達も、来てくれるか?
微笑んだ相手にアクアは頷いた。
「…キングは、殺されたんですか。」
「ああ。」
思ったよりも冷静に。
ウィングは動かなかった、だが心は決まっていた。
二人は歩いて、船へと戻った。
協定はホセとクラウンを見つけるまで、そしてクラウンを向こうに、ホセをこっちに渡すこと。
クラウンはもう関係ない。
ウィングは思った。
こいつから聞けばいい、何もかも。
「アクア、本当にいいんだよな?」
「ええ。」
構いません。
焼け野原となった緑の星は、まるで二人を責めるように瓦礫を崩した。
ウィングとアクアはその間をすり抜けながら、言葉も交わさず船へと歩いた。


