「ああああああああまどろっこしいなああああぁぁぁぁ…!!!」
「ぅ…グアッ!?」
不意打ちをくらいホセは氷の壁に思いっきりぶつかった。
「しょうがないからお前を殺すよ…お前ら退いてろ邪魔だ。」
「キャアッ!」
「アクゥッ?!」
倒れたアクアとかなりの高度から降ってきたウィングを上手くキャッチすると、ホセは二人を寝かせ庇うようにする。
「こいつらに手は出すな…二番、だったか?」
「ああそうだよ!!ハハッ…!!」
瞳孔が一瞬薄くなる、ホセは業火を放った。
「熱いな、そうだろ吸血鬼!?」
「…」
それを突っ切って此方に躍りかかる、ホセは氷の壁に沿うようにして後退しながら激しい攻防を繰り広げる。
「お前らが奪ったモノ、お前らから奪うだけだよ!何が悪い、俺が正義だ、俺たちはずっと正義を主張する!!」
死と炎の決闘、陽炎が揺らぎ目の前を踊る。
「っ」
炎をいとも容易くすり抜けつつ、相手はホセに襲いかかる。
この世には、絶対に超えられない線がある。
例えば死。
不老不死だ不死身だと言っても、生物的な死は、決して免れない。
他にもある、光の速度、宇宙の摂理。
神のみぞ変えることの許される領域。
それは温度にもある、これ以上低くならない温度、そしてそれ以上高くならない温度。
それはならないというかないのであり、存在し得ないモノだ。
だが、(何故か)ホセに不可能はなかった。
自分より年上なはずだが、随分と小柄な相手。
ホセは彼を見下ろし、空へ飛んだ。
「ああああぁぁぁぁぁぁムカつくんだよほんっとどいつもこいつも…!」
鎖を潰して飛行能力を解放する、漆黒の翼がはためく。
向こうも飛んだ、瞬間ホセは落ちた。
「!」
言葉通りの落下。
高度は約200メートル、そこから重力のみで落ちる、堕ちる、墜ちる。
耳元でけたたましいほどの風の音が聞こえる。
「自滅か?!魔力が尽きたか?!」
今にも飛びそうな意識をつなぎとめ、ホセは地上に叩きつけられる寸前。
そしてホセは、落下時に生じた摩擦のエネルギーと、地面に激突した際の衝突エネルギーを全て。
「変質魔法…」
熱エネルギーに変換した。
「燃えろ。」
瞬間、その熱は一瞬にして空気の体積をすざましいスピードで膨張させる。
その空気はリレーの如く激しい熱を伝え、震える空気が音をも生み出す。
「ワールド・オブ・ファイナル。」
爆音を立てながら辺りを弾けさせるそのようすは、まるでそれは終わりゆく世界の果てのような。
そんな美しい光景ですらあった。


