「待ってください!!」
逃げるしかなかった。
能力を駆使してクラウンは走った。
クラウンの能力は宇宙系、つまり人口の星を自由に操れる。
普通の星も操れるが、大きく体力を消費し、また生物や人工物は操れない。
小さな惑星や恒星を創り、その引力を利用して飛び回る。
飛んでくる水の礫は激しく、クラウンは目を細めて呻く。
「アクア!」
と、突然二者の間に壁ができた。
ヒヤリと冷気を放つその氷の壁越しに、ホセはクラウンに向かって叫ぶ。
「逃げろ!!」
アクアとウィングを同時に相手して、ホセはそれでも常に強者。
ウィングは舌打って、遥か上空まで飛び上がる。
「逃すなアクア、キングの仇を取るんだろ!!凍ってるからには水だ、気合いで操れ!!」
「無茶言わないで下さい、力量も何もかも劣ってるのに!しかも私操れるのは純粋な水なんです!!酸化水素だけです!!!!窒素無理!なんでか分かんないけど絶対零度超えてる!人知上回ってる!!!宇宙の神秘さすがお兄ちゃん!!」
「ちょっと黙ってろ!そして理数系苦手設定どうした!!」
「暗記系はパーフェクツ!」
「できないの数学だけかよ!」
「技術家庭科ちょい厳しいです!!」
「知らねーよ!!!」
上昇するウィングとほぼ同速度で冷たい炎は氷の壁を駆け上がる。
空気すら凍らせるその炎は、強固な壁を何処までも高く築き上げる。
「っち!」
クラウンはただ走り続け、遂にその姿は見えなくなった。


