☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-


「わりぃな、ヴィスはたまにこうなるんだ。」

なかなか先輩愛が強すぎる、と言ってミューズはヴィセーブをヒョイと担いだ。

「ロス、怪我は?」

「…大丈夫だ。」

良かった良かったとミューズが笑う。

「ん〜ここの森くるんじゃねーかと思ってさ、仕事適当にやってきた。」

「お前、いいのかそれで…」

「いーのいーの。ちょっと猟奇殺人犯出しちゃったけど俺の時代は人間70億以上いるし!」

「ちょっと待て。」

「死んでても100単位。へーきだよ。」

いやだめだろ。

キングは真剣にそう思ったが、ミューズはニコニコしていた。

「んー、ウィグ君ヴィス頼むね。急ぎ家つれて帰って服着せて欲しいかな。キー君はロスと戻ってて。フェスはキングとここで待機。」

ミューズはニコニコしながら言った。

「急いで。警察来るからその前に。フェスたちは俺に話合わせて、分かんないことは嘘ついてオッケー。」

ミューズは、はいはーいとウィング以下4名を物陰に押し込む。

「フェスとキングはそこで腰抜かして座りこめー!」


ほとんど間を置かず警官が現れた。

「あ、こんにちは、さっきの声ならこれですよ〜。」

ミューズはいつの間にか手に持っていたレコーダーをひらひらさせた。

「思ったよりおっきい音でたんでびっくりしました。」

警官は不審そうに座り込んでいる二人を見た。

「腰抜かしたんですよ、ったく本当弱虫つーかww」

「うっせびっくりしたんだよ!!」

負けじとフェニックスが吠える。

「ドッキリとかいうレベルじゃねー」

「君らは何者だ。」

「そいつの友達。悪魔じゃねーけど旅しててさ。丁度用事あったし近く通ったから寄ったんだよ。昨日合流した。」

「仲間はお前らだけか。」

「いや?1人悪魔科の女の子がいんの。その子が懐郷病でさ、鬱になりかけ。魔界にちょっと里帰りだよ。」

「その子に身分は。」

「さぁ、どうだろ。聞いてない。種族は鬼みたいだぜ。家出してたらしいから深くは聞いてないけど。」

「鬼?」

「ああ。」

女の子というのは当然アクアだが、アクアの種族は鬼ではなく妖精だ。

しかし、悪魔科妖精は奇跡の妖精と呼ばれて、その羽はすざましい癒しの力を持っている。

だから即捕獲及び強制連行だ。

ミューズ達はそれを知らないが、今はかえって都合がいい。

「そっちの金髪は?」

「こっちの金髪の兄貴。」

端的に、無愛想に答える。

「イケメンの遺伝子は俺から受け継いでるって訳だよ。いい?」

キングはすくっと立ち上がり、溜息をついた。

「ったく、てっめドッキリ如きで警察沙汰かよ。めんどくせー。」

柄の悪さはお墨付きだ。

どんな時でも手放さない白衣がかえって不良っぽい。

「いっつも泣かせられるからって仕返しで警察沙汰はねーだろばーか。」


半分本気だ。