「おはよー。ホセー?」

「…んー。」

我ながら平和ボケしている、とホセは思った。

今日も昼過ぎまで寝坊した。

研究所に勘当を食らって仕事が回ってこない上、そう大してやることもない。

よって睡眠が増える。


「ホセ、ご飯食べる?」

作ると言ったのに女の意地で料理はしたいと主張されたので譲った次第だ。

ただ危ないので肉及び山菜はホセが採ってきている。

「ん…ありがとう。」

「うん。薬、塗る?」

「ああ、頼む。」

だいぶ良くなったお陰で、今では背中に数カ所深い傷があるだけ。

その傷が残っている理由は傷があるのに川に入るからだとクラウンは思っている。

「はい。」

「ありがとう。」

ホセはそう言って立ち上がる。

渡された串をムシャムシャしゃぶると、ホセは全て腹に納めた。

「クラウン、これからどうする。」

「…このままじゃ、駄目?」

生暖かいぬるま湯に、このまま浸かっていたい。

「ああ。」

駄目だとはわかってる、でも辛い。

「まず決めろ、あいつらにもう一度会うか、会わないか。」

「…」


別に、今日突然言われたわけではなかった。

何日も何日も、繰り返された問答応答。

返す答えも同じだけ。


「…もうちょっと、考えさせて。」


ホセは頷いてそれ以上は何も言わなかった。

この生温い日常に浸っていたいのは、ホセも同じだったから…