☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-



「…」

床で丸まったホセは、すでに眠りについたようだった。

くーと平和な寝息が聞こえる。

クラウンもすっぽりと布団を被って眠っている。

平和な、これ以上ないほど平和な光景。

後も先もない今。

だからこそ束の間でもあるのだが、平和に眠る二人はそれを知る余地もなく。


日が高く昇るまで、二人の二度寝は続いた。


「…ホセ。」

「…」

「ホセ、起きてる?」

「ああ。」

土の床に丸くなったホセは、くるりと寝返りを打ってクラウンを見上げた。

「おはよう。」


寝起きのボーッとした顔。

ぼんやり霞む視界。

すごく平和で愛おしい。


「おはよ。」

滑るようにベッドを降りてホセの隣に寝そべる。

髪に絡む土の感触を感じたけど、後で落とせばいいからと。

クラウンは仰向けになった。

「ホセ…」

「何。」

「幸せだよ、私。」

「…そう。」

心臓の上で、白い骨がトクトク跳ねる。

瞳の奥で、涙がトクトク溢れる。

「クラウン。」

ホセは、ジッとクラウンを見やった。

こめかみを流れていく透明な涙を見つめた。

「綺麗だ。」

酷く響いた声に、クラウンは笑った。

「ありがと、ホセも綺麗。」

「…」

クラウンもホセと向き合った。

「慰め合いって、嫌い?」

「構うか、傷の舐め合いだっていい。」


硬い土はまるで彼らを包む世界のようだった。

そこにいるだけで、身体中が痛い。

楽になったと思ったら、すぐにその体勢を崩さないといけなくなる。

立っても座っても寝ても起きても。

決して楽になれない。


「正反対だな。」

ホセは言った。

「なのにどこか似てる。」

「似てるんだよ、私達。」

「…」

鼓動が重なり。

トクトク、トクトク。

呼吸が重なる。

スゥ、はぁ。

時間が重なり、命が重なる。

世界が重なり、心が重なり。


「…ホセ。」

「…」

「このままで、もう少し。」
「このままで、もう少し。」

言葉が重なる。


ずっとこの時間が続いて欲しい。

二人は心からそう願った。


仰向けになって内側の手をどちらともなく繋ぎあわせる。

時が止まったような洞窟、深層に響く水の音。


永遠にこの時が止まればいいのに。

二人は心からそう思った。