河原から洞窟まではそんなに遠くはなく、道も険しくはない。
クラウンはホセに続きながら、話しかけた。
「ここって、どこなの?」
「名前もない小さな小惑星だ。ファストアルタイルって恒星を公転してる。無人の星だ、山と川と海はあるから生物はいるんだが。ファストアルタイルが凶悪だから文明は築かれていない。」
「凶悪って?」
クラウンは辺りを見渡した、光線にそこまでの有害性があるのかな?
「寿命が短い。」
「寿命?」
「ああ…百数年ごとに超新星爆発を起こす。周りの星を巻き込んで全滅させ、ほぼ同じ場所にまたほとんど同じ星ができる。飛んできた星が惑星になる、また滅びる…の繰り返しだ。」
「…そうなんだ。」
「せっかく築いた文明も百数年で滅びちゃ台無しだからな。だがどういうわけかファストアルタイルは生命のある星を他の恒星から奪うんだ。だからこういう星がある。」
「ホセって物知りだね。」
「そんなことない。」
「あるよ。」
他愛もない言い合いをしていると、いつの間にかホセが足を止めた。
辺りには鬱蒼と木々が茂り、地面は湿っている。
ホセはくるりとクラウンの方を見やって、手を差し出した。
「お先にどうぞ、お嬢さん。」
かぁぁ、と顔が熱くなる。
クラウンはそれをさとられないようにふいと横を向いた。
「ふざけてるの…?」
「照れてるのか。」
「…ち、違うったらっ!!」
「…」
クラウンの腕を掴んで、ホセはその茂みの中に後ろ向きに体を入れる。
まるで別世界、土の入り口に二人は立っていた。
「もたもたするなよ。」
「えっ…」
そうだ、クラウンは思い出した。
ホセって意外にコミカルなんだ。
「もう一眠りするか。」
ホセは珍しくそう言って、クラウンを手招いた。


